コピー禁止

広島花幻忌の会(原民喜文学の研究・継承)

当会は、原民喜の文学を愛する人々の集いです。会からのお知らせを随時更新します。

原民喜生誕祭ご報告

f:id:hananomaboroshi:20211120145335j:image

早いもので今年ももう直ぐ師走を迎えようとしております。

皆さまお健やかにお過ごしでしょうか。

会では去る11月13日(土)、広島平和資料館会議室にて原民喜

生誕祭を開催し、無事終了致しました。

原民喜の誕生日は11月15日。

没後70年の今年は、生誕116回目に当たります。

コロナの状況が少し落ち着いてきたこともあるせいか、直前の

お知らせにもかかわらず、50名を超える方々がご参加くださいました。

皆さまのご厚意に感謝しつつ、以下写真と共にご報告させて頂きます。

f:id:hananomaboroshi:20211121184346j:image

f:id:hananomaboroshi:20211121184220j:image

先ず恒例の献花・黙祷。

戦争や原爆で亡くなられた方々に、鎮魂と平和への祈りを捧げます。

続いて音楽家で宮島観光大使でもある、白井朝香さんの奏でるシターの調べにのせて、会有志による原民喜の詩の朗読を。

f:id:hananomaboroshi:20211120151144j:image

朗読作品は、「碑銘」・「かけかへのないもの」・「永遠のみどり」など。

穏やかで優しいシターの音色が詩句と溶け合い、極上の時を醸し出します。

f:id:hananomaboroshi:20211120203120j:image

朗読の間には、シター独奏も交えて。

曲名は、世界遺産・宮島からモンサンミッシェルに捧げるために白井さんご自身が作曲した「祈りの島」。

後で予定されている舩附洋子さんの講演、「原民喜が辿った大正時代の厳島」とも重なり合う、心憎いセレクトです。

f:id:hananomaboroshi:20211120151151j:image

会場内の皆さんもうっとり聴き入っておられます。

f:id:hananomaboroshi:20211120154542j:image

次に、飛び入り参加してくださった、朗読グループ・Reading Notte代表の多和田さち子さんによる、原民喜童話「山へ登った鞠」の朗読。

弾む鞠のように軽やかでリズミカルな朗読に、主人公の少年や鞠を取り巻く情景が見事に蘇りました。多和田さん、素敵なひとときを本当にありがとうございました。

f:id:hananomaboroshi:20211120160438j:image

朗読の部のラストは、多和田さんのReading Notteに所属して日々朗読の研鑽を重ねている、会員の高田裕志さんが、原民喜初期作品「幼年画」所収「不思議」抜粋を。

抜粋部分は、後に続く舩附さんの講演内容に関連する部分です。

子ども時代の民喜の眼に写った、大正時代の宮島。細やかな描写は、まるでビデオフィルムを見ているよう。当時の情景が、聴く人たちの心の中に活き活きと浮かび上がってきます。正確なアクセントや抑揚、区切り方など、言葉に誠実に向き合う朗読が、聴く者の心に情景をごく自然な形で喚起させます。しっとりと落ち着いた味わい深い朗読に、目を閉じて情景を味わう方々も多く見られました。朗読の醍醐味溢れる贅沢な10分間、高田さんに感謝です!

f:id:hananomaboroshi:20211120163833j:image

休憩を挟み、宮島に生まれ育った宮島歴史研究家であり随筆家・詩人の舩附洋子さんによる「原民喜が辿った大正時代の厳島」のお話を。

先に紹介しましたように、原民喜の戦前の作品「幼年画」所収の「不思議」に纏わるお話です。

主人公は、幼い頃の原民喜をモデルにしたと思われる少年・雄二。家族と一緒に汽車と船を乗り継いで、厳島に行楽に行く話です。少年の眼に映った情景がそのまま描写されており、子ども心を幻惑させる厳島の様子が、煌めくように繊細な筆致で描かれています。

舩附さんは、沢山の写真をスクリーンに映写しながら親しみ易い語り口でお話しくださり、何とも楽しく興味深い宮島の文学探訪。あっと言う間に1時間が過ぎてしまいました。

f:id:hananomaboroshi:20211121184242j:image

今と昔では厳島も様変わり。現在は生息する動物や街路、風俗も変化しており、地理的にも理解が難しい箇所も所々見られる「不思議」。その不思議を、舩附さんが見事に読み解いていってくださいます。

f:id:hananomaboroshi:20211120184840j:image

f:id:hananomaboroshi:20211120184854j:image

f:id:hananomaboroshi:20211120184934j:image

お話の最後には、原時彦さんが民喜と宮島に纏わるエピソードを紹介。民喜は宮島に対する愛着が非常に強く、折に触れては宮島に足を運び、八幡村に避難していた頃もこっそり宮島に行っていたのだとか。紅葉の中、戦前の穏やかな生活を回想していたのかもしれませんね。

f:id:hananomaboroshi:20211121184301j:image

最後に、広島文学資料保全の会代表の土屋時子さんから、ユネスコ「世界の記憶」への、原民喜栗原貞子峠三吉らのヒロシマ文学資料登録申請の結果についての報告がなされました。

皆さまもマスコミ報道などでご存知の通り、国内選考2件には残念ながら落選。

原さんは「もう一度チャレンジさせてください!」と、力強い意思表明。ヒロシマの惨禍の記録を、世界の人々と共有することは、平和への貴重な一歩になるはずです。

https://www.hiroshimapeacemedia.jp/?peacemovies=2021-8

 

今回は全部で11件の登録申請があったそうですが、その詳細や選考過程は非公開とか。次回の再挑戦に向け、是非とも諸情報の開示をしていただきたいものですね。

f:id:hananomaboroshi:20211120185235j:image

f:id:hananomaboroshi:20211120185336j:image

沢山の方々にご参加いただき、和やかで心温まる集いを無事開催できましたことに、心から感謝申し上げます。

民喜もきっと喜んでいることでしょう。

 

なお、今年は秋口までコロナウイルス感染症が拡大していたため、公募という形での文学散歩は実施しませんでしたが、個人あるいは小グループからの要望に応える形での小規模文学散歩は、引き続き継続実施しております。

(写真は民喜生誕日に併せ、遠路東京から来広されたA子さんとの文学散歩の様子です。)

f:id:hananomaboroshi:20211120220849j:image

f:id:hananomaboroshi:20211120220857j:image

f:id:hananomaboroshi:20211120220936j:image

f:id:hananomaboroshi:20211120220942j:image

フィールドワークは、ご希望に応じて随時開催しています。また会が発行しました原民喜初期作品集「死と夢・幼年画」も、送料・税込頒価1000円にてお分けしております。

f:id:hananomaboroshi:20211120233252j:image

興味・ご関心おありの方は、事務局までお問い合わせ下さい。

 

連絡先:広島花幻忌の会事務局長 長津功三良

電話 090-9065-5343

mail: hananomaboroshi@yahoo.co.jp

 

向寒の折、皆さまもお身体にお気をつけてお健やかな冬をお迎えくださいませ。

 

 

# 原民喜 # 花幻忌 # 永遠のみどり

# 不思議 # 幼年画 # 平和 # 祈り # 碑銘