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広島花幻忌の会(原民喜文学の研究・継承)

当会は、原民喜の文学を愛する人々の集いです。会からのお知らせを随時更新します。

「原民喜ーかすかにうずく星ー」展 が始まりました

11/29(木)から始まった企画展 「原民喜ーかすかにうずく星ー」。
若手画家の手嶋勇気さんの手になるディレクションにより、民喜の作品が彼と
同じ時代に広島で活躍した作家たちや、現在広島を拠点に活動する作家の芸術
作品と共に、新しく蘇りました。
民喜の生家から徒歩1分という場所に位置する、ギャラリー交差611と広島花幻忌の会の
共催による、初めての試みです。ギャラリーは2階と3階の2フロア。2階は民喜と同世代
作家の作品を中心に。3階は現在広島で活動している作家たちの作品を展示しています。


手嶋勇気さんが民喜作品に影響を受けて描いた「かなしい景色」。

「鎮魂歌」をテーマに描いた、画家ガタロさんの最新作も。
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会場には、沢山の方々が足を運んでくださっています。

初めての週末の11/30(金)午後7時からは 原民喜研究者ウルシュラ・スティチェック
さん(広島花幻忌の会会員・広島大学非常勤講師)を囲んで読書会が開かれました。

テキストは、民喜の遺作である「心願の国」。

ポーランド人のウルシュラさんは、1980年代ワルシャワ大学在学時代に民喜作品に
出会い、更に深く民喜の文学を研究するため来広。広島大大学院で学びを深め、
現在、同大学などで非常勤講師をしながら研究を続けています。
「心願の国」に見られる民喜の死生観など、大変に興味深い示唆。参加者の皆さんも
どんどん作品に惹きつけられていきます。

12/1(土)午後2時からは、レセプションパーティーが開催されました。

開始の挨拶・展示の説明をする手嶋さん。


広島花幻忌の会からは、民喜の甥で著作権継承者の原時彦さんが。

会員で元NHKキャスター、現在は表現者としてアーティスト活動も展開中の藤野能子さん
が急遽駆けつけ、サプライズで「夏の花」の朗読を。

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静かな空間に、藤野さんの暖かい声が流れます。
民喜の静謐な言葉には、優しく穏やかな彼女の朗読がぴったり。

講演は、会員で毎日放送プロデューサーの、大牟田聡さんによる
「夢のように美しいが現実のようにたしかな《原民喜》」。

15歳の時から原民喜を読んできた、という大牟田さん。民喜の様々な作品を
引用しながら彼の死生観を読み解いてゆきます。明確な論理展開と、
パワーポイントによる豊富な資料。90分の時間があっという間に過ぎてしまいます。

「『鎮魂歌』は、死を生に浄化させようとした稀有な作品」とし、「嘆きの向こう
側に明日(希望)を仮定し」、「逆説的に生きるための死」を描いた
という言葉に、静かに頷く参加者の姿が印象的でした。


朗読・講演を終えた後、ホッとした笑顔の藤野さんと大牟田さん。
本当にお疲れさま、ありがとうございました。

なお本展は、12/9(日)までの会期で開催中です。
12/8(土)午後2時からは 「民喜を語る」イベント。
朗読のあと、民喜の甥・原時彦さんや広島花幻忌の会事務局長 長津功三良氏(詩人)
らのお話を聞き、共に民喜について語り合いましょう。
12/9(日) 午後1時からは、出品作家たちによる座談会です。
皆さまどうぞお誘い合わせの上、是非お越しください。


(中国新聞 朝刊 2018/12/1)