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広島花幻忌の会(原民喜文学の研究・継承)

当会は、原民喜の文学を愛する人々の集いです。会からのお知らせを随時更新します。

2018年 夏の行事 ご報告 その2 ー原民喜を読む・語るー

【 8・15 反戦・原爆詩を朗読する市民の集い】(於 合人社 ひとまちプラザ 2018年8月15日)

以前のブログでもご紹介しましたが、広島文学保全の会との恒例の夏の朗読会は、
今年 原民喜がメインテーマ。
一部は 朗読構成 〜響きあい 結びつく〜 「一輪の花の幻」
二部は 会員で毎日放送プロデューサー、大牟田聡さんの講演
「夢のように美しいが 現実のようにたしかな《原民喜》」。
酷暑の中100名を超える方々が参加され、大変有意義なひとときとなりました。

はじめに、広島文学資料保全の会の土屋時子代表による挨拶。

次に、日韓学生23名による朗読構成です。韓国の学生は、韓国群山大学とソウル
神学大学のみなさん。6月下旬に来日し8月下旬の帰国までの約2カ月間、広島に滞在
して語学研修と並行で平和学習などのカリキュラムをこなす短期留学生たちです。
来日早々から平和祈念資料館や平和公園の碑めぐり、原爆展見学 その他様々な学習を積む
中、カリキュラムの一つとしての「原民喜文学学習」を終え、朗読会に参加しました。
広島花幻忌の会による作品レクチャーやフィールドワークなどの事前学習の後は、
分担作品を決め、グループに分かれて「原爆小景」の中の5つの原爆詩「日ノ暮レチカク」
「水ヲクダサイ」「コレガ人間ナノデス」を朗読する練習を積んできました。
もちろん日本人学生も、「原爆被災時のノート」「鎮魂歌」「心願の国」などの抜粋を
猛練習です。(民喜の生誕地、広島市中区幟町学区の専門学校ヒューマンアカデミーで、
パフォーミングアート(表現芸術)を専攻して学んでいる学生6名と、広島女学院中学の
中学生1名の計7人。)
7月下旬からは合計17時間以上にも及ぶ日韓合同練習。群読を加えた一まとまりの朗読
構成を完成させるため、日韓両国の学生ら全員が一生懸命 練習に励んで本番に臨みました。


若い人ならではの瑞々しい表現に、会場の皆さんも次第に引き込まれていきます。
日韓両国の若者たちの心が、民喜の言葉によって響きあい結びついた感動的な朗読でした。
最後に、ソウル神学大学のクヮク ミンキョンさんが、韓国語と日本語でスピーチを。
「朗読で声を合わせたように、力を合わせて核のない平和な世界を創ってゆきたい」。
日韓両国の若者たちの心が一つになった、声と声との交響楽(シンフォニー)。
その余韻の中で、彼女のスピーチは清々しく心に響いてきました。

第2部は、広島花幻忌の会の初代会長、大牟田稔氏のご子息でもある会員の大牟田聡さん
(毎日放送プロデューサー)による講演。
15歳から民喜を読んできた、という大牟田さんは中学生で既に民喜論を書いていた、
という大変な民喜ファン。多くの作品の抜粋やスライド資料を交えながらの講演は、
非常に明快な論理構成で、民喜の作品に見られる「生」と「死」に関する問題
を掘り下げて考察。核をホロコースト(大量虐殺)ともみなせるとし、作品に内包された
死と生の局面に更に深く踏み込んだ内容は、聞く者をグイグイ引き込んでいきます。
民喜が自死直前に描いた「雲雀」の姿を、「生」に向かって飛び立つ姿かもしれないとした
パラドキシカルな視点は非常に多くの示唆に富み、生死のダイナミズムを逆転させて見事な
言説。読みの可能性を更に豊かにするお話は、1時間半という時間の長さを全く感じさせない
うちに終了しました。
本当にありがとうございました、大牟田さん。また是非お話をお聞かせください。


最後に、日韓学生たちの集合写真を。
BGM音源の協力をして下さったバイオリン奏者白井朝香さん、バックスクリーンスライドに
ご協力頂いた切り絵作家の小川敏明さんも一緒です。

みんな朗読後の充実感でいっぱいの笑顔、最高に輝いています!
猛練習のうちに終わった2018年の夏。私たち広島花幻忌の会会員も、皆さんと共に
過ごした時間を、決して忘れることはないでしょう。またお会いしましょう!!

なお、今回の朗読には広島女学院中学高校講師 李菊枝(イ グッチ)先生、NPO法人友愛
アカデミーの佐々木令子先生ご夫妻ら、大変多くの方々のご協力とご支援を賜りました。
心より御礼申し上げます。




#原民喜 #花幻忌