3月9日付中国新聞朝刊で、12日(日)開催予定の碑前祭の内容が
紹介されました。
予約・参加費不要で、どなたでもお気軽にご参加頂けます。
皆さまお誘い合わせの上、どうぞお越しください!
3月9日付中国新聞朝刊で、12日(日)開催予定の碑前祭の内容が
紹介されました。
予約・参加費不要で、どなたでもお気軽にご参加頂けます。
皆さまお誘い合わせの上、どうぞお越しください!
春の陽気が待ち遠しいこの頃ですが、皆さまにはお健やかにお過ごしの
ことと存じます。
さて、原民喜の命日(3月13日)に際し、今年も恒例の碑前祭を行います。
今回のお話は、原民喜の甥であり版権継承者の原時彦さんにお願いしております。
写真や動画などの視覚資料を交えながら、民喜が辿った被爆前後の広島の様子を
語って頂きます。
皆さまお誘い合わせの上ご参加下さいますよう、ご案内申し上げます。
日時 2017年3月12日(日) 13:30〜16:00頃まで
会場 原爆資料館 東館 地下小会議室
プログラム
1) 会場にて献花・黙祷 (天候のこともあり、会場にて遺影に)
2) 作品朗読 若干お願いしておりますが、飛び入りも歓迎致
します。
3) お話「原民喜と辿るー想い出の廣島ー 」原時彦さん
4) 事務局からのご連絡 長津功三良
※ どなたでも参加自由、参加費は頂いておりません。
どうぞお気軽にご参加ください。
※ 年会費は2000円です。どなたでも入会できます。
お問い合わせは事務局まで。
【事務局】岩国市美和町生見長角4011 長津方
☎︎ 0827ー97ー0826
誕生日 原民喜
雄二の誕生日が近づいて来ました。学校では、
恰度その日、遠足があることになつてゐました。
いい、お天気だといいがな、と雄二は一週間も前
から、その日のことが心配でした。といふのが、
この頃、毎日あんまりいいお天気ばかりつづいて
ゐたからです。このまま、ずつとお天気がつづく
かしら、と思つて雄二は、校庭の隅のポプラの樹の
方を眺めました。青い空に黄金色の葉はくつきりと
浮いてゐて、そのポプラの枝の隙間には、澄みき
つたものがあります。その隙間からは、遠い遥かな
ところまで見えて来さうな気がするのでした。
雄二は自分が産れた日は、どんなお天気だつたの
かしら、としきりに考へてみました。やつぱり、その
頃、庭には楓の樹が紅らんでゐて、屋根の上では雀が
チチチと啼いてゐたのかしら、さうすると、雀はその
時、雄二が産れたことをちやんと知つてゐてくれたやう
な気がします。
雄二は誕生日の前の日に、床屋に行きました。鏡の前
には、鉢植の白菊の花が置いてありました。それを見る
と、雄二はハツとしました。何か遠い澄みわたつたもの
が見えてくるやうでした。
「いい、お天気がつづきますね」
「明日もきつと、お天気でせう」
大人たちが、そんなことを話合つてゐました。
雄二はみんなが、明日のお天気を祈つてゐてくれる
やうにおもへたのです。
いよいよ、遠足の日がやつて来ました。眼がさめる
と、いい、お天気の朝でした。姉さんは誕生のお祝ひ
に、紙に包んだ小さなものを雄二に呉れました。あけ
てみると、チリンチリンといい響のする、小さな鈴で
した。雄二はそれを服のポケツトに入れたまま、学校
の遠足に出かけて行きました。
小さな鈴は歩くたびに、雄二のポケツトのなかで、
静かな響をたててゐました。遠足の列は街を通り抜け、
白い田舎道を歩いて行きました。綺麗な小川や山が見え
て来ました。そして、どこまで行つても、青い美しい空
がつづいてゐました。
「ほんとに、けふはいい、お天気だなあ」
と、先生も感心したやうに空を見上げて云ひました。
雄二たちも川のほとりで弁当を食べました。雄二が腰を
下した切株の側に、ふと一枚の紅葉の葉が空から舞つて
降りてきました。雄二はそれを拾ひとると、ポケツトに
収めておきました。
遠足がをはつて、みんなと別れて、ひとり家の方へ戻つて
来ると、ポケツトのなかの鈴が急にはつきり聞えるのでした。
雄二はその晩、日記帳の間へ、遠足で拾つた美しい紅葉の葉
をそつと挿んでおきました。
※ 初出 「近代文学」(昭和28年6月号)
本文は 定本原民喜全集 II (1978年 青土社) によります。
旧年中は皆さまに大変お世話になりました。
いつも誠に有難うございます。
広島花幻忌の会では、去る1月8日(日)に世話人会を開催し、
今年も色々な行事に取り組み、皆で力を併せて原民喜の言葉
を継承していくことを確認致しました。民喜文学の、より良
い継承を目指し、皆さまと共に歩みたいと思います。
皆さまのご意見やご要望もどんどんお寄せください。
今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
広島花幻忌の会 事務局長 長津 功三良
🌸 今年度最初の行事は、恒例の3月の碑前祭です。日時や
場所など、また追ってお知らせいたします。
🌸 会の年会費は2000円、どなたでも入会できます。会員
には近状通信や行事などのお知らせをご自宅にお届け
致します。
連絡先 岩国市美和町生見4011
長津功三良 tel/fax 0827-97-0826
携帯 090-9065-5345
広島花幻忌の会メールアドレス
hananomaboroshi@yahoo.co.jp
この度は、原民喜文学を継承する会「広島花幻忌の会」の
ページにご訪問ありがとうございます。
当会は、原民喜の文学作品及び文学資料を継承するため、
2000年に発足致しました。
活動としては、年2回の集い(11月の民喜生誕祭・3月の碑前
祭)の他、不定期で研究会や講演会・展示会・朗読会・
「夏の花」を歩く文学散歩の会などの催しを開催。また、
機関誌や民喜作品書籍の編纂及び発行も行っております。
会員各位へのお知らせは、これまで会報「近状通信」に
よって行ってきましたが、この度このページを開設し、
どなたでも閲覧可能に致しました。より広く多くの皆さま
に、原民喜に関するお知らせをお届けできるかと存じます。
(集いや催しには、会員外の方も無料で参加可能、お気軽
にご参加ください。)
会からの発信、及び会の活動は、文学関係者らで構成する
文学を次世代へ望ましい形で継承するべく努めております。
このページでは、これからも原民喜に関する情報を、より
良い形でお届けしたいと存じております。ご意見などの
コメント、情報提供も歓迎致します。
どうぞ今後ともよろしくお願い申し上げます。
広島花幻忌の会
🌺ご意見や、コメント、ご質問や情報提供は、こちらの
メール アドレスまでお願い致します。
hananomaboroshi@yahoo.co.jp
🌺本文や写真など転載希望の方は上記アドレスまでご連絡
をお願い致します。無断転載はご遠慮ください。
※なお、当会は遺族・原時彦氏長女・友光民子氏を代表と
運営に携わり、会報及びサイトなど会からの発信につい
ては顧問・原時彦氏に監査・監修を委ねております。