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広島花幻忌の会

当会は、原民喜の文学を愛する人々の集いです。会からのお知らせを随時更新します。

原民喜 詩作品紹介 ② ー 青葉 ー

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青葉

朝露はいま
滴り落ちてくる
いたづらに樹を眺めたとて
空の青葉は深々としてゐる

原民喜 詩作品紹介 ① ー 花見 ー

花見

桜の花のすきまに
青空を見る
すると ひんやりしてゐるのだ
花がこの世のものとは思はれない

2017年 春の碑前祭 ご報告


去る3月12日(日)、中区平和記念資料館地下会議室にて、春の碑前祭を
行いました。春らしい穏やかな日差しにも恵まれ、50名を超える方々に足を
お運び頂きました。ありがとうございました。
民喜の甥であり、当会顧問の原時彦さんが、DVDを交えながら民喜作品に
因む戦前戦後の広島のお話をされ、一同興味深く聞き入りました。
戦前から被爆時・被爆後までを網羅したお話は、民喜作品への理解がより
深まる充実した内容。時彦さんご自身の経験も語って頂き、ヒロシマの証言
としても価値あるものでした。







会員の高齢化などのため、詩碑から会場内に場所を移して遺影に献花を。



朗読のコーナーでは、4組の方々の朗読が行われました。
民喜生誕地近くの専門学校で学ぶ学生さんたちは「鎮魂歌」他を情感豊かに
朗読。
名古屋の劇団員、中村透子さんによる童話や詩の朗読もありました。



ポーランドから日本に来て20年以上民喜文学を研究しているウルシュラ・スティ
チェックさんは、民喜文学の翻訳に関するショートスピーチを。


声楽家杉浦由美子さんによる「永遠のみどり」(尾上和彦さん作曲)
の独唱には、一同うっとり。参加者への歌唱指導もありました。







この模様は翌日(3月13日)の新聞三紙(中国、毎日、読売)でも報道されました。
13日は民喜命日。天国へのご報告のようでした。

デジタル近状通信2017年3月ー碑前祭を紹介ー

3月9日付中国新聞朝刊で、12日(日)開催予定の碑前祭の内容が
紹介されました。
予約・参加費不要で、どなたでもお気軽にご参加頂けます。

皆さまお誘い合わせの上、どうぞお越しください!

デジタル近状通信2017年2月ー原民喜碑前祭のご案内ー

春の陽気が待ち遠しいこの頃ですが、皆さまにはお健やかにお過ごしの
ことと存じます。
さて、原民喜の命日(3月13日)に際し、今年も恒例の碑前祭を行います。
今回のお話は、原民喜の甥であり版権継承者の原時彦さんにお願いしております。
写真や動画などの視覚資料を交えながら、民喜が辿った被爆前後の広島の様子を
語って頂きます。
皆さまお誘い合わせの上ご参加下さいますよう、ご案内申し上げます。




日時 2017年3月12日(日) 13:30〜16:00頃まで

会場 原爆資料館 東館 地下小会議室

プログラム

1) 会場にて献花・黙祷 (天候のこともあり、会場にて遺影に)
2) 作品朗読 若干お願いしておりますが、飛び入りも歓迎致
します。
3) お話「原民喜と辿るー想い出の廣島ー 」原時彦さん
4) 事務局からのご連絡 長津功三良

※ どなたでも参加自由、参加費は頂いておりません。
どうぞお気軽にご参加ください。

※ 年会費は2000円です。どなたでも入会できます。
お問い合わせは事務局まで。
【事務局】岩国市美和町生見長角4011 長津方
☎︎ 0827ー97ー0826

原民喜童話作品紹介 ① ー 誕生日 ー

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誕生日 原民喜

 雄二の誕生日が近づいて来ました。学校では、

恰度その日、遠足があることになつてゐました。

いい、お天気だといいがな、と雄二は一週間も前

から、その日のことが心配でした。といふのが、

この頃、毎日あんまりいいお天気ばかりつづいて

ゐたからです。このまま、ずつとお天気がつづく

かしら、と思つて雄二は、校庭の隅のポプラの樹の

方を眺めました。青い空に黄金色の葉はくつきりと

浮いてゐて、そのポプラの枝の隙間には、澄みき

つたものがあります。その隙間からは、遠い遥かな

ところまで見えて来さうな気がするのでした。

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 雄二は自分が産れた日は、どんなお天気だつたの

かしら、としきりに考へてみました。やつぱり、その

頃、庭には楓の樹が紅らんでゐて、屋根の上では雀が

チチチと啼いてゐたのかしら、さうすると、雀はその

時、雄二が産れたことをちやんと知つてゐてくれたやう

な気がします。
 雄二は誕生日の前の日に、床屋に行きました。鏡の前

には、鉢植の白菊の花が置いてありました。それを見る

と、雄二はハツとしました。何か遠い澄みわたつたもの

が見えてくるやうでした。

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「いい、お天気がつづきますね」
「明日もきつと、お天気でせう」
 大人たちが、そんなことを話合つてゐました。

雄二はみんなが、明日のお天気を祈つてゐてくれる

やうにおもへたのです。
 いよいよ、遠足の日がやつて来ました。眼がさめる

と、いい、お天気の朝でした。姉さんは誕生のお祝ひ

に、紙に包んだ小さなものを雄二に呉れました。あけ

てみると、チリンチリンといい響のする、小さな鈴で

した。雄二はそれを服のポケツトに入れたまま、学校

の遠足に出かけて行きました。
 小さな鈴は歩くたびに、雄二のポケツトのなかで、

静かな響をたててゐました。遠足の列は街を通り抜け、

白い田舎道を歩いて行きました。綺麗な小川や山が見え

て来ました。そして、どこまで行つても、青い美しい空

がつづいてゐました。

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「ほんとに、けふはいい、お天気だなあ」
と、先生も感心したやうに空を見上げて云ひました。

雄二たちも川のほとりで弁当を食べました。雄二が腰を

下した切株の側に、ふと一枚の紅葉の葉が空から舞つて

降りてきました。雄二はそれを拾ひとると、ポケツトに

収めておきました。

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 遠足がをはつて、みんなと別れて、ひとり家の方へ戻つて

来ると、ポケツトのなかの鈴が急にはつきり聞えるのでした。

雄二はその晩、日記帳の間へ、遠足で拾つた美しい紅葉の葉

をそつと挿んでおきました。

 

※ 初出 「近代文学」(昭和28年6月号)

   本文は 定本原民喜全集 II (1978年 青土社) によります。

 

 

 

デジタル近状通信2017年1月ー原爆文献検索サイト開設ー

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1980年代にポーランドで「夏の花」に出会い、1991年からは

広島大学原民喜をはじめとする原爆文学を研究してこられ

た、会員のウルシュラ・スティチェックさんの原爆文献検索

サイトに関する記事が、朝日新聞(2017・1・15)で紹介されま

した。

原爆文学を世界に伝える検索サイト、大変貴重なお仕事です。