早いもので、2023年も3ヶ月が過ぎようとしています。
会では先週3月21日(祝・火)、原民喜没後72年花幻忌の集いを
開催致しました。
あいにくの雨天にもかかわらず、40人もの方々にご参加いただき、
心温まるアットホームな雰囲気の中、無事に集いを終えられました。
皆さまのご厚意に心から御礼申し上げます。
以下、写真を交えて集いのご報告をいたします。
長津事務局長による開会の言葉。原民喜や多くの原爆死没者の冥福を祈り、
今まさに戦争で苦しんでいる方々へも祈りを捧げます。
続いて原民喜の遺影に献花を。
最初に原民喜甥で著作権継承者の原時彦さん、原さんの長女で会の代表でも
ある友光民子さんが献花。参加者の皆さんも後に続きます。
恒例の原民喜作品朗読。
若者グループの朗読者は、高校生の頃から参加している市内大学生の鳥田さん、
先日高校を卒業し4月から大学生になる土井さん、現在高校生の高橋さんの3人です。
原民喜の「コレガ人間ナノデス」「かけかへのないもの」、
「碑銘」などの作品朗読に交え、作品から自分たちが受け取った感想も発表。
朗読作品ラストは「永遠のみどり」。
会場の方々も3人に続き、一緒に朗読しました。
永遠(とわ)のみどり
ヒロシマのデルタに
青葉 うづまけ
死と焔の記憶に
よき祈よ こもれ
とはのみどりを
とはのみどりを
ヒロシマのデルタに
青葉 したたれ
若者たちは、ロシアによるウクライナ侵攻などにも触れ、ひとりひとり
が平和への決意とメッセージも語ってくれました。
今まで何度も会に参加して、戦争や原爆を知る世代の方々から多くの言葉を
受け取ることができた、という鳥田さんは、
「自分が受け取った言葉を、多くの人に伝えたい」と、嬉しいメッセージ。
若者たちの頼もしい言葉に、会場の方が大きく頷くシーンも見られました。
続いての朗読者は、会員の佐藤よしこさん。
民喜作品を介して、友人で舞踊家のHiromiさんと意気投合したとのこと。
初めての、朗読&舞踊のコラボです。
朗読作品は、原民喜の短編童話「気絶人形」。
https://www.aozora.gr.jp/cards/000293/files/43530_28513.html
民喜自身を彷彿させる、感受性が高く繊細なお人形が、目まぐるしい
外界の刺激に目を回し、気絶してしまうというお話です。
「くるくるくるくる、ぐるぐるぐるぐる…」
若い頃から声楽を嗜んでおられる佐藤さんの、よく通る声が響きます。
その声にぴったり合わせて、Hiromiさんのしなやかな舞が。
洋風帽子に和服という和洋折衷の衣装も素敵です。
動きに従って煌びやかな衣装の袖や裾が翻るさまには、思わず息をのみます。
くるくる、ぐるぐるといった擬態語や「ぺちゃくしゃ」などの擬音語が、
非常に魅力的かつ効果的に作用するのを、体感させられるステージ。
まさに再現者によって全く異なる趣を醸し出す再現芸術の妙です。
それをを十分に堪能できたお二人の素晴らしいパフォーマンスに、会場からも
熱い拍手が溢れました。
演技終了後には、佐藤さんから、2人がパフォーマンスに込めた思いや感想を。
Hiromiさんは「このお話は、気絶したお人形が少女の温かい手によって生気を
取り戻す、というエンディングです。佐藤さんと作品を作り上げながら、民喜は
〈傷ついた心に温かい愛情を!〉というメッセージを込めたのでは?」と…。
この童話の発表は、原爆投下から5年後の1950年。惨禍を経た後、世の中が急激に
復興していくさなかの作品です。
たしかに、戦争によって傷ついた繊細な心に必要だったのは、「温かな手」に象徴される
人間の優しさや温もりだったのかも知れませんね。
ポーランドから来た民喜研究者のウルシュラさんや原さんと記念撮影。
第二部は参加者同士の懇談を兼ねて、参加者の皆さまにご発言いただきました。
初代会長の大牟田稔さんの御子息で、毎日放送本社にお勤めの大牟田聡さんは、
中学生の時に原民喜を読み、膨大なレポートを書き上げたという年季の入った民喜ファン。
パフォーマンスの感想や会のことなどをお話しくださいました。
民喜との思い出などさまざまな積もる話を語ってくださった、原時彦さん。
広島文学資料保全の会代表の土屋時子さんからは、
図書館移転問題に関する経過報告や、原民喜や峠三吉、栗原貞子、太田洋子
文学資料のユネスコ記憶遺産登録申請についてを。
その他諸々、ご参加くださっていた沢山の方々にご発言いただきましたが、
事務局世話人らは皆マイクを回すのに慌ただしく、写真を撮っておりません。
誠に申し訳ございませんでした。
ともあれ、今年も無事に集いを開催し、民喜の言葉に互いの心を重ねて
平和への祈りを捧げることができました。
皆さまのお力添えのお陰です。
この場を借りまして、厚く御礼申し上げます。
皆さま本当にありがとうございました✨
広島花幻忌の会
#原民喜 # 花幻忌 #平和 #朗読